知識集(2020年版)

前書き

コンタクトレンズ説明及び度数合わせなどに従事されている全ての方にお役に立てれば幸いです。

コンタクトレンズ検査・販売従事者向けページ

尚、当ページは実際の検査に関わるスタッフ用に作成しているため、専門用語での記述となります。(一般ユーザーがご覧になっていただいてもOK)

順次情報を追加していきます。(2020年6月現在)

等価球面補正

乱視度数を球面度数として換算し視力矯正をする事。元々は近視・遠視・乱視全てを合計した度数を知る為の計算式の事。

(視力が重要な意味を持つ職業等の採用時に規定として用いられる。例、 S-5.00 C-2.00 の場合は等価球面度数に直して S-6.00。と規定するのです)

処方時に応用するケースとしては乱視眼に対し近視レンズのみで視力矯正する場合などに使われます。

計算方法

等価球面度 = 乱視度÷2

決定度数 = S+等価球面度

例えば S-3.00 C-2.00 AX180の場合。

等価球面度は乱視度割る2なので -1.00となる。それをS-3.00に足すと S-3.00+(-1.00)となり結果S-4.00となる。

よって決定度数は S-4.00となる。

他店の処方等でこのような例を見た場合、「等価球面処方」を行っているのだな。と理解して下さい。

但し、乱視そのものを矯正している訳ではないので乱視矯正レンズには見え方はかなわない。

含水率について



従来はレンズの「含水率」が高ければそれだけ水分を必要とするので乾きやすい。逆に「含水率」が低ければ乾きにくい。という事が基準になっていましたが、最近では素材の違いや表面処理の有無によって一概に今迄のようには判断しにくくなっています。

シリコーンハイドロゲルの基本性能

シリコーンハイドロゲル素材は水よりも酸素透過性の良い素材である。よって低含水率のほうが結果的に酸素を多く通す事になるが、反面ある程度の硬さによる違和感が発症するという側面を持つ事となる。その代表格がエアオプティクスである。(但し、エアオプティクスはプラズマコーティングという表面処理をして汚れの付着を防ぎ潤い感を出している)

含水率が低いため乾きにくい→素材が高酸素透過性のため呼吸感がある。という図式であるが、一方でその硬さが眼に合わないケースがある。その場合はバイオフィニティが第一選択となる。シリコーンハイドロゲル素材でありながら含水率を高め(たんぱく質付着を防ぐためと柔らかさを実現するためのバランス調整と思われる)眼への負担減、良装用感、乾燥感の低減をバランスよく実現したレンズである。問題はフィッティング状態であろう。高酸素透過性で高含水率である事から多少タイト気味のフィッティングでも良好なようである。但し、フィッティングだけが判断基準ではないので注意する事(眼瞼圧や瞬目状態、表出面積、環境などなど)

さらにバイオフィニティはやや強め度数に振れやすい為、若干弱めでも視力が出る。



素材、含水率、酸素透過性、乾燥感、脂質付着、柔らかさとの相互関係について



一般的には含水率をあげる事により装用感の向上が実現される。しかし水分の蒸発と補充(涙から)を繰り返す事により乾燥感は出やすい。よって元々眼が乾きやすい場合は不向きであろう。但し、フィッティングを見て頂きレンズの動きが充分であればその欠点もなくなる。簡単な例ではワンデーアキュビューである。ワンデーアキュビューでも乾燥感が無く快適に使用されている方がいるが、この場合はフィッティング的にやや動きが大きい傾向にある。しかしこれが功をそうしているのである。

シリコーンハイドロゲルの特徴

シリコーンハイドロゲルは脂質が吸着しやすい。特にお化粧関連の汚れがつくとレンズに曇りが生じる。それがさらに他の汚れも引きつけるため最終的にはアレルギー症状となってしまうのだ。エアオプティクス等は表面処理を施すという方法で汚れの付着を防いでいるが、それでも旧素材から比べると脂質は付着しやすいためファーストケアなどの強力なケア用品が最適である。

もう一つの特徴として酸素透過性と硬さの関係だ。

酸素透過性を高めるとレンズが硬くなり、逆に柔らかくすると酸素透過性が落ちる。前者の代表がエアオプティクス。後者の代表がアドバンス(旧製品)である。そしてその両方の良いところをとったのがバイオフィニティではある。酸素透過性が高いのに柔らかい。(素材改良によって実現)



乱視用レンズ 処方のポイント



乱視用レンズの処方に関してはメーカー説明と若干違う箇所があります。ご注意下さい。

1)乱視度は弱めが基本(特に直乱視は) 

直乱視の場合は例え-1.50位の度があったとしても最初は近視レンズから試します。

pastedGraphic.pdf何故?

涙液効果やフィッティングでの効果が装用しないとわからないから。

近視矯正のみで視力も良好、放射線も正常。であればわざわざ乱視用にする必要はありません。但し、視力が上がらない場合は患者様にご説明の上、乱視用をテストして下さい。

直乱視と倒乱視は前述したようにその重要度が違いますので、常に意識をして下さい。但しいくら倒乱視でも乱視度の与え過ぎには充分注意して下さい。

2)フィッティング時の軸ズレについて

乱視レンズの処方時に混乱してしまうのが、フィッティング時でのレンズの軸ズレがあります。

例えば患者さんを正面から見て・・・

1.完全矯正値が180°、180°のTRを装用するのですが、時計回りに10°ズレてしまった。

2.完全矯正値が10°、180°のTRを装用するのですが、時計回りに10°にズレてしまった。

3.完全矯正値が170°、180°のTRを装用するのですが、時計回りに10°にズレてしまった。

4.完全矯正値が170°、160°のTRを装用するのですが、反時計回りに10°にズレてしまった。

などなど・・・理屈ではわかっていても実際の場面になるとパニックになってしまいます。

(上記例でズレて良かったと云うパターンがあるのですが、どれでしょう? 答えはPART2の最後)

これは乱視用レンズを処方する上では必須事項なので習熟しておいて下さい。

フィッティング時の軸ズレについて PART 2

装用テストは10分前後かける。しかし、実際に装用する場合乾き具合によって軸ズレは影響されます。定期検査等で来院され乱視レンズを装用していた場合、そのままフィッティング時の軸ズレの有無を確認する事も大事でしょう。

※ 傾向としてはフィッティングがルーズ気味の場合は正常位置に収まりやすいといえる

問題の答え:ズレて良かったのは3番と4番です。

乾きのチェックポイント



  1. 非装用時の状態
  2. 複数レンズを使用されている場合に差異の発生有無(CLKBも含め)
  3. 環境に依る差異PC使用の有無及び程度
  4. 時間に依る差異
  5. 季節に依る差異
  6. 瞬目の状態
  7. 目薬使用の有無
  8. 眼洗浄剤使用有無
  9. フィッティング状態

解説

1.非装用時の状態について

裸眼時にも眼が乾くのか、それともコンタクト装用時のみなのか?これは結構重要です。裸眼時にも眼が乾くという方は根本的な解決策が必須です。涙液が少ないのかマイボーム線からの分泌が悪いのか環境が悪いのか瞬きが少ないのか? この点をチェックしなければいけません。

2.複数レンズを使用されている場合に差異の発生有無(CLKBも含め)

例えば、Aというレンズだと乾かなくて、Bというレンズだと乾く。しかもレンズスペック的には逆(Aは乾き易い、Bは乾きにくいレンズ)この場合「相性ですね」で済ましてしまう時があると思いますが、何が要因でこうなるのか確認する必要はあります。 

まずはフィッティングです。ノーマルからややルーズ位が涙液交換がし易いので乾きにくくなる傾向にあります。

もう一つはレンズの汚れ具合です。実は汚れと乾きは大きな関連性があり、レンズが汚れる事により涙液の乗りが悪くなったり、汚れが一つの皮膜となり涙とレンズとの親和性を阻害する。という事もあります。バイオフィニティが乾きにくいのは他のレンズよりも汚れが付きにくいところに要因があります。

勿論、比較的汚れ易いレンズでもフィッティング状態が良好であればそんなに汚れないという事もあります。コンタクトレンズの場合は色々な角度から検証することが必要です。

3.環境に依る差異PC使用の有無及び程度



散々色々な事を聞いて最後にユーザーが「でも私、会社でまともにエアコンの風が当たる場所にいるんです」と言われるケースがあります。

この場合、どんな乾きにくいレンズをしても殆ど無駄です。風が当たらないようにする工夫をして頂く事が先決ですね。

基本的にはコンタクトを使用する時のメイン環境を聞いて下さい。

4.PC使用の有無及び程度

PC使用時は瞬きが少なくなりますし、ディスプレイからの発光により目も疲れ易くなります。意識して瞬きする事や時折ディスプレイから眼を離す事が大切です。

5.時間に依る差異

1Dタイプで夕方から乾くという方はレンズの汚れに起因する事が考えられます。よって汚れにくいレンズにするだけで解決する事があります。2Wタイプであればこすり洗いをしっかりする事で単純に解決する事もあります。これを確認する方法は2Wタイプであれば、「初日から乾きますか?」と聞いてみましょう。

6.季節に依る差異

やはり乾燥する季節には乾き易くなるのが普通です。アドバイスとしては1Dタイプで最も乾きにくいレンズをこの期間だけ使用するとか。対処法は色々あると思います。

7.瞬目の状態

瞬きをしっかり出来ているのかどうかはかなり重要です。良い先生だとこれを必ずチェックしています。検査スタッフも検眼時にチェック出来るはずなので見て下さい。と同時にユーザーへは瞬きの重要性を説明しましょう。

と云っても常に瞬きを意識する事は難しいですけどね。

8.目薬使用の有無

目薬を常用している方は結構いらっしゃいます。確認すべき事は市販のものか眼科で処方されたものかどうか。これによって対応は違ってきますね。

市販目薬で使い切りタイプならまだしも、防腐剤入りを常用するのは少し注意が必要です。防腐剤が悪いと云うよりは、常用している点が問題なんです。全ての乾き対策を施しても改善しないのなら目薬に頼らず得ないでしょう。それ位の気持ちで対応する事が必要ですね。

9.眼洗浄剤使用有無

これは特にいけません。(眼科でも一致した見解) 大切な涙表面の油層を剥がしてしまう事や眼の回りの汚れも一緒になってしまう事等。一般的には眼科でも余程の事が無い限り目は洗いません。仮に洗ったとしても下瞼に眼軟膏を塗布します。

10.フィッティング状態

フィッティングは総合的に判断しなければならないので奥深いのですが、今回はあくまでも「乾き」に重点をおきます。

まずタイトよりはルーズの方が乾きに関しては望ましい。

基本的には高含水タイプよりは低含水タイプの方が乾きにくい

よって一般的には低含水タイプでフィッティングがルーズ気味。違和感もない。というのであれば割と乾きにくくなります。

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